【実施レポート】秩父商工会議所 職員向け生成AI研修(初級・中級 全6回)

2026.09.23

主催秩父商工会議所(職員研修)
日時・会場初級(90分)2026年8月6日・8月21日・9月2日/中級(120分)9月3日・9月10日・9月17日 いずれも秩父商工会議所
対象・参加秩父商工会議所の職員 13名(各回3〜5名。1人が初級・中級を1回ずつ受講)
テーマ生成AIの基礎知識と、支援機関の職員としての活用
講師株式会社MAREMI 代表取締役 吉岡健太朗

ご依頼の経緯

専門家派遣で秩父商工会議所の会員事業者の支援に伺う場に同行いただいたことがきっかけで、秩父商工会議所職員の皆さまにも、とご依頼をいただきました。

業務でAIを使うことが当たり前になりつつある中で、所内での活用を進めて生産性を高めたい。あわせて、使うときに気をつけるべき点も含めて学びたい、というご要望でした。

開催の形にもご要望がありました。参加は任意のため、業務時間内に交代で受けられて、夜間など時間外に集まらずに済むこと。そして、少人数で手厚くアドバイスを受けられること。初級・中級を3回ずつに分けたのは、このためです。

研修の組み立て

  • 業務を止めずに受けられる回し方:各回3〜5名の少人数で、同じ内容を3回ずつ開催しました。職員の皆さまは、初級と中級を1回ずつ受講しています。
  • 追加の費用がかからないツール:AIは、職員の皆さまが無料で使えるGeminiとGemini Notebookを使いました。
  • 秩父と職員の実務から取った題材:予算内で秩父のお菓子を選ぶ、札所を回る配送ルートを考える、といった題材を選びました。AIがもっともらしい誤りを出したときに、地元の方ならその場で気づけるからです。ハンズオンでは、補助金の要綱をAIに読み込ませて要点を引き出しました。
初級のデモ:皆野駅から札所を回る配送ルートをAIに考えてもらう
初級のデモ:皆野駅から札所を回る配送ルートをAIに考えてもらう
研修のようす(講師)
研修のようす(講師)

実施内容の要点

初級(90分)

  • 生成AIは個人には広がったのに、組織の業務ではまだ使われていない。その現状と理由を、総務省の情報通信白書や民間の調査の数字から整理
  • 生成AIとは何か。「辞書ではなく、よくできる新人」として付き合う
  • 音声入力ツール(Typeless)の体験(初級3回のうち2回で実施)
  • 講師のデモ:指示の出し方で答えが変わる/もっともらしい誤りを出す/こちらの言い分に話を合わせてくる。あわせて、文書に隠した指示でAIを操る「プロンプトインジェクション」など、使うときの危険
  • 各自のハンズオン:Gemini Notebookで補助金の要綱を読む
初級:組織でAIが使われない理由を3つに整理
初級:組織でAIが使われない理由を3つに整理
初級:AIは辞書ではなく、よくできる新人
初級:AIは辞書ではなく、よくできる新人

中級(120分)

中級:初級は「自分が使う」、中級は「事業者に案内する」と「会議所として決める」
中級:初級は「自分が使う」、中級は「事業者に案内する」と「会議所として決める」
  • 事業者から「どのAIがいいですか?」と聞かれたときの答え方
  • 業務でAIを使い始めるときの入り口の見つけ方
  • 実習:事業者に渡す1枚の資料を、AIで調べてまとめる
  • グループワーク:AIを業務で使うときの懸念・課題を付箋で出し合う
中級:付箋ワークの3つの問い
中級:付箋ワークの3つの問い

研修の後にお渡ししたもの:所内の運用ルールの叩き台

中級のグループワークで出た付箋は、3回で77枚でした。いちばん多かったのは「どこまで情報を入れていいのか」という声です。

これをもとに、商工会議所向けに配布されている生成AIのガイドライン(ひな形・全17条)の条文に沿って、所内で決める運用の叩き台を作成し、お渡ししました。A4で11ページ、章立ては次のとおりです。

お渡しした叩き台(全11ページ。内容は伏せています)
お渡しした叩き台(全11ページ。内容は伏せています)
  • 1. この叩き台について:位置づけと、いつまでに何を決めるかのゴール。「来年には新しいルールで職員がAIを業務に使っている状態」をゴールに置き、まずは10章の「最初の2つ」から着手してほしい、と冒頭で案内しています。
  • 2. 付箋から見えたこと:77枚をテーマ別に集計。いちばん多かったのは「どこまで情報を入れていいのか」で39枚。「漏れないか・学習されないか」の5枚と合わせると半数を超えます。
  • 3. 最初に決めること:業務で使うAI:無料版/入力が学習に使われない環境/すでに使えるものがないかを確かめる、の3案と、選ぶときの判断材料。研修で使った無料版については、提供元の公式ページの記載を引きながら、どこまでなら入れてよいかを整理しています。
  • 4. 入れてよい情報の線引き:情報の種類ごとに、入れてよい・条件付き・入れないを色分けした表。決算書、相談内容、会員情報、ID・パスワードなど、付箋に出てきた情報を、使うAIの違いも含めて分けています。
  • 5. AIが作ったものを使うとき:外に出す前の確認、AIを使ったことの明示、著作権。数字・固有名詞・日付・制度の名前だけは元の資料で確かめる、といった手順まで落としています。
  • 6. 困ったとき・何か起きたとき:報告先と手順。入れてはいけない情報を入れてしまったときに誰へ報告するか、漏えい時の対応マニュアルが所内にあるかの確認まで含みます。
  • 7. うまく使えないという悩み:教育の話。ルールで決めることではないので、所内で「うまくいった聞き方」を持ち寄る時間を定期的に設けることを提案しています。
  • 8. 誰が決めるのか:各職員に任せること/組織として決めること/専門家と確認すること。研修で出た「個人の判断でよいのか」という声に、ガイドラインの条文を根拠に答えています。
  • 9. 国のガイドライン等との対応:個人情報保護委員会・AI事業者ガイドライン・AI指針・文化庁の原文を確認し、要旨を表に、出典のURLを一覧にしました。埼玉県庁の運用(講習と効果測定テストに合格した職員から使う)も参考として入れています。
  • 10. 来年の運用開始までの道筋(案):決める順番と、目安の時期。使うAIが決まらないと入力の線引きが決まらない、という順に並べ、配る3点(規程・運用細則・A4一枚の早見表)を作る時期まで置いています。
  • 11. 網羅性チェック:ガイドライン17条と、現場の声には出ないが必要な項目を「済・未」で一覧に。使ってよい業務、私物の端末、周知と同意なども含めています。
  • 付録:付箋77枚の全文。書き起こしに、2章で使ったテーマの分類を付けて並べています。

決定版ではなく、所内で議論していただくための材料としてお渡ししています。

参加者の声

受講された職員の方3名からいただいた声です。

AIの最新動向や具体的な活用法について、わかりやすく解説していただきました。実際にPCを操作しデータを使用した検索などを体験できたことで、AIの利便性をより身近に感じることができました。

普段の検索からAIを使うようになり、今回の研修でGemini Notebookを初体験しました。講師の説明や事例解説が非常にわかりやすく、学びの多い研修でした。

業務内でAIを活用するにあたり、当所内にはまだ統一されたルールがないことにあらためて気付かされました。講師から「職員みんなでルールを考え、作成していきましょう」とご提案いただき、中級編はルールづくりのための勉強会として実施いたしました。研修でのワークショップの内容をまとめた運用案(ベースライン)をいただきましたので、今後はこれをもとに当所に適したガイドラインを構築し、運用を進めていきたいと考えています。

同様の研修のご依頼について

株式会社MAREMIでは商工会・商工会議所の職員研修、企業・団体での社内研修や、生成AIの利用ルールづくりのご相談を受け付けています。

お問い合わせは、お問い合わせフォームまたはお電話(0494-26-7262)でどうぞ。

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